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ワンケーブルカメラ(POCカメラ)とは?電源重畳について解説

設置や通電工事が簡単になるなど何かと便利なワンケーブルカメラですが、メリットばかりではなく、デメリットもあります。
そこで今回のコラムでは、ワンケーブルカメラ(PoCカメラ)について解説し、メリットとデメリット、さらに注意点なども解説していきます。
電源重畳とは
ワンケーブルカメラ(PoCカメラ)について説明する前に、まずは「電源重畳」について理解しておきましょう。「重畳(ちょうじょう)」とは普段から使っているような言葉ではありませんが、一般的な意味としては「幾重にも重なること」を指します。
電気工事などでは、信号や電気を重ねて伝送するケースが多くあり、これを重畳と言います。エアコンなどの配線工事でもよく見られる方式で、重要な基礎知識の一つです。防犯カメラの配線工事で電源重畳が用いられる際は、カメラの映像信号の伝送と、電源供給を1本のケーブルで行うことを指すのがほとんどです。
通常、電源重畳はアナログカメラやアナログハイビジョンカメラなどを接続させる際に用いられます。電源重畳の仕組みを用いて、1本のケーブルで配線できるためワンケーブルカメラ(ワンケーブルタイプ)、あるいは電源重畳方式と呼ばれることもあります。
防犯カメラのシステム
重畳についてある程度理解したら、次は防犯カメラのシステムについても理解しましょう。これもワンケーブルカメラを知る上で、重要な知識となります。防犯カメラのシステムはケーブルや信号方式の違いなどがあり、複数のシステムが存在します。代表的なのは下記の4つです。
ネットワークカメラシステム
LANケーブルを使ったシステムで、ハブを経由することで配線を一つにまとめて設置することができます。施工が容易になるなどのメリットがあります。
EX-SDIカメラシステム
EX-SDI(Extended-Serial Digital Interface)カメラシステムとは、同軸ケーブルを用いて映像信号を伝送するカメラシステムのことです。EX-SDIIは新しいビデオ信号伝送規格で、HD-SDIの規格を進化および拡張させた規格です。
AHDカメラシステム
AHDはAnalog High Definitionの略で、アナログ配線でハイビジョン画質が記録できる防犯カメラシステムです。こちらも同軸ケーブルを用いて映像信号の伝送を行います。
ワイヤレスカメラシステム
ワイヤレスカメラシステムは、映像ケーブルを無線化した防犯カメラシステムです。ルーターなどを介して電波を飛ばし、データの伝送を行います。
防犯カメラシステムは、記録した映像データを信号に変えて、モニターやレコーダーなどに伝送するシステムです。これまで紹介したように、伝送するには電波、同軸ケーブル、LANケーブルといった複数の方法があります。ワンケーブルカメラは、このうち同軸ケーブルを用いた防犯カメラシステムのうちの一つです。次からの項目で、より詳しく解説していきます。
ワンケーブルカメラとは
防犯カメラシステムを構築する際は、信号を伝送する仕組みがさまざまにあることを前述しました。このうち同軸ケーブルを用いて防犯カメラシステムを構築する際に、選択肢の一つとなるのがワンケーブルカメラです。
ワンケーブルカメラの特徴
通常、防犯カメラは映像信号を通すケーブルと、電気を通すケーブルの2本が必要です。そのため2ケーブルカメラというのが主流でした。しかし映像信号も電気も同じ同軸ケーブルで伝送できる方式が開発されています。これがワンケーブルカメラです。
ワンケーブルカメラは「Power over Coax」と呼ばれ、PoCカメラとも言われます。また日本語では電源重畳(でんげんちょうじょう)方式と言われることもあります。
ワンケーブルカメラの仕組み
ワンケーブルカメラを利用するには、カメラで撮影した映像信号を同軸ケーブルに乗せるために、電源ユニット(信号重畳ユニット)といった機器が必要になります。
電源ユニットは別売りで市販されていますが、レコーダーに内蔵されているタイプもあります。このようなレコーダーは、PoC内蔵型レコーダーなどと呼ばれています。PoC内蔵型であれば、信号重畳のためのユニットを別途購入する必要がないためコストが削減できるほか、設置スペースも不要です。
次の項目では、ワンケーブルカメラと2ケーブルカメラの違いについてより詳しく見ていきましょう。
ワンケーブルカメラと2ケーブルカメラの違い
同軸ケーブルを用いて防犯カメラシステムを構築する場合、ワンケーブルカメラと2ケーブルカメラの2種類あることを紹介しました。この2つのタイプにはどのような違いがあり、どのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。
ワンケーブルカメラのメリット
配線が1本なので工事が簡単…1本のケーブルで配線ができるので、2本のケーブルを用いるときよりも配線工事が簡単になります。
設置工事の費用が削減…1本のケーブルで配線ができるので、設置工事の費用を削減することができます。
長距離の配線が可能…配線距離は2ケーブルよりも長く、200〜500メートル程度まで可能です。配線距離が長い場合、ワンケーブルでしか対応できないこともあります。
電源の確保が容易…屋外に設置する場合は電源の確保が困難になることがあります。しかしワンケーブルカメラでは電源を確保する必要がなく、設置が容易になります。
ワンケーブルカメラのデメリット
カメラの機種が少ない…2ケーブルカメラに比べて、ワンケーブルカメラの種類が少ないため、選択肢が少ない可能性があります。
カメラ本体の費用が高額…2ケーブルカメラに比べて、カメラ本体の費用が高額になります。
他メーカーとの接続が困難…PoCには標準的な規格がなく、各メーカーが独自に開発しています。そのため、メーカーの異なる機器を接続する場合は、トラブルや故障につながる危険もあります。
2ケーブルカメラのメリット
カメラ本体はタイプが豊富…市販されているタイプが多いため選択肢が多く、設置場所や目的などに合わせてカメラのタイプを選ぶことができます。
カメラ本体の価格帯が幅広い…2ケーブルカメラは最もポピュラーなタイプで、価格帯は安いものから多機能で高額な機種もあります。そのため予算に合わせて選ぶことができます。
2ケーブルカメラのデメリット
配線工事の費用が高額…配線工事では、映像信号用と電源供給用のケーブルが必要になるため、2本分の工事を行うことになります。そのため工事費用は高額になる可能性があります。
配線距離が短い…配線距離は最大80メートルくらいで、設置場所によっては新たにコンセントを設ける必要があります。そのため工事費用がさらに高額になる可能性があります。
ワンケーブルカメラと2ケーブルカメラの用途
ワンケーブルカメラと2ケーブルカメラの違いを把握したところで、それぞれにどのような目的や用途で設置されるのか見ていきましょう。
2ケーブルカメラの用途
2ケーブルカメラは、1台設置するのに電源ケーブルと映像信号を伝送するための同軸ケーブルが必要になります。つまり2ケーブルカメラの場合、防犯カメラの台数が増えるごとに、配線の数が2本ずつ増えていくことになります。そのため設置工事だけではなく、管理やメンテナンスに労力や時間が費やされることになります。もちろん電気を供給する電源コンセントが防犯カメラの近くに必要になるため、設置工事には費用がかさむことになります。
そのため防犯カメラの台数が少ない場合に用いられる傾向があります。主に一般家庭、オフィス、店舗などで設置されています。
ワンケーブルカメラの用途
一方、ワンケーブルカメラでは、映像信号を伝送する用と、電源を供給する用のケーブルが1本で済みます。そのため防犯カメラから電源ユニットまでの配線工事は簡単になります。また防犯カメラの電源も供給されるため、カメラの台数が増えても電源コンセントを増設する工事は必要ありません。
そのためマンションや工場、ビルなど、防犯カメラの台数が数多く設置され、さらに配線距離が長くなるケースで使用される傾向があります。
PoC とPoEとの違い
ワンケーブルカメラはPower over Coaxとも言われ、防犯カメラとレコーダー間のデータ伝送を1本の同軸ケーブルで行います。同様のシステムに、ネットワークカメラもありますが、この場合は同軸ケーブルではなく、LANケーブルでデータを伝送するシステムです。
このLANケーブルを用いたカメラシステムは、電源重畳方式ではなくPoEと呼ばれます。PoEとはPower over Ethernet(パワーオブイーサネット)の頭文字をとったもので、簡単に言えばLANケーブルを用いた電源重畳の仕組みです。ただしLANケーブルでシステムを構築する場合、1本の配線で行うことが通常なのでワンケーブルや2ケーブルといった呼び方はしません。混同しやすいので、間違えないように覚えておきましょう。
メリットとデメリットを踏まえて検討を
防犯カメラに用いられるワンケーブルカメラについて解説しました。ワンケーブルカメラについて理解するには、カメラシステムを構築する際に同軸ケーブルを用いる方式があること、また同軸ケーブルで映像信号と電気を同時に伝送するために重畳という方法があることについて知る必要があります。そのため、今回のコラムでは、合わせて解説しました。
ワンケーブルカメラは配線工事が簡単で工事費用が削減できるなどのメリットがある一方、機種が高額でさらに選択肢も少ないといったデメリットもあります。またその特徴から用途や設置場所が限られる可能性もあります。
こうしたメリットとデメリットを踏まえて、防犯カメラを選ぶ際に検討してください。
- 2024.12.11
- 18:45
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