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ネットワークカメラ(POEカメラ)とは?仕組とメリットを解説

防犯カメラを設置するのは屋外や玄関入り口などがメインになるため、電源の確保が問題になります。そこで人気を集めているのがPoE給電方式による防犯カメラです。このPoEカメラを用いると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
今回のコラムでは、PoEカメラの仕組みやメリットなどを解説していきます。
電源重畳とは
PoEカメラの仕組みについて理解するには、まずは電源重畳について把握しましょう。重畳(ちょうじょう)とは、幾重にも重ねるといった意味で、防犯カメラの場合は電源ケーブルと映像信号を伝送するケーブルを1本にすることを指します。
通常の防犯カメラは映像信号を伝送するケーブルと、電源供給用の2本のケーブルが必要ですが、電源重畳をすることによって1本の配線で済むことができるのです。配線の数を少なくすることで、工事費用が削減されたり、見た目がスッキリするなどのメリットがあります。
この電源重畳によって配線を1本にすることを電源重畳方式などと呼びますが、その方法はいくつかあります。そのうちの一つがPoC(Power over Coax)方式です。電源ユニットを用いて信号を結合させることで配線を1つにすることが可能になります。これに対して、PoE(Power over Ethernet)はLANケーブルを用いて電源供給と映像信号の伝送を同時に行う方式です。
この違いを覚えた上で、PoEについてより詳しく見ていきましょう。
PoEの仕組み
前述したように、PoEはLANケーブルを用いてネットワーク機器に電力を供給する技術のことです。そのため電源を確保しにくい場所に防犯カメラを設置する場合でも、電源供給に困ることはありません。
例えば、事務所や居室内に設置しているルーターと、PoEハブをLANケーブルでつなぎ、そのPoEハブにインターネット接続をしたい防犯カメラを接続します。このように接続することで、防犯カメラに対する電源の供給とデータ伝送が可能になります。
PoEの規格は、2003年に「PoE(IEEE 802.3af)」として標準化されています。それ以降も消費電力の大きい機器の使用を想定して、2009年にPoE+(IEEE 802.3at)」、2018年に「PoE++(IEEE802.3bt)」といったように拡張されています。
「PoE(IEEE 802.3af)」の最大供給電力は15.4Wですが、「PoE++(IEEE802.3bt)」は90Wとなっています。4K対応カメラや高解像度ディスプレイなど大きな電力を必要とする防犯カメラが増えているため、防犯カメラの消費電力に沿ったPoEを選ぶことが必要になります。
PoEカメラを用いるメリット
PoEの仕組みについて把握したところで、PoEによる給電方式を用いたPoEカメラを用いるメリットについて解説していきます。
電源工事が不要
PoEカメラは、LANケーブルで電源が供給される防犯カメラなので、外部からの電源を確保する必要がありません。PoE非対応の防犯カメラでは、電源を確保するために設置場所の周辺には必ず電源コンセントが必要になります。しかしPoEカメラではLANケーブルによって電源が供給されるため、別途電源ケーブルを室内に引き込むといった工事も必要ありません。こうした手間を省くことができ、それにかかる費用も必要ないということは大きなメリットとなります。
また屋外や外壁など電源を確保しづらい場所に防犯カメラを設置する際は、電源をどのように確保するのか問題になることもあります。しかしPoEカメラでは電源が供給されるため、このような場所でも設置することが容易なのです。
配線が1本でスッキリする
通常、防犯カメラを設置する際は、電源ケーブルと映像信号用ケーブルの2本のケーブルが必要になります。このケーブルが1本になるため、配線工事が容易になります。また防犯カメラからレコーダーなどの間で配線が複雑になることもなく、スッキリした見栄えを維持することができます。
増設が容易にできる
防犯カメラは、設置工事が終わったあとで不足を感じ、新たな場所への設置を検討することがあります。このような場合、PoEカメラなら容易に増設することが可能です。ルーターと接続されたPoEハブに防犯カメラをつなぐことで、使用できる機種がほとんどです。そのため防犯カメラを増設したい場合も大規模な工事をすることがなく、手軽に設置することができるのです。
PoEカメラを用いるデメリット
PoEカメラのメリットを把握したところで、次にPoEカメラを用いるデメリットについて解説していきます。
導入費用が高額
PoEカメラは先進技術を用いているため、購入費用は高額になる傾向があります。PoE非対応カメラと1台5,000円程度違えば、5台導入すると25,000円も高くなります。
ただし配線などの導入工事費用やメンテナンスが安く抑えられることも見込めます。そのため全体的にかかる費用を想定して機器を選ぶことも大切です。
伝達距離が100メートルまでに限られる
LANケーブルの最大伝達距離は100メートル前後と言われており、100メートル以上となるとデータの信号強度が弱まります。そのため、防犯カメラを100メートル以上離れた場所に設置する際は、ハブなどを中間に設置する必要があります。
またLANケーブルにはカテゴリーがあり、数字が小さい順にCAT5、CAT5e、CAT6、CAT7などとなっています。数字が大きいほど高速かつ高周波帯域でのデータ伝送が可能ですが、一般的には高額になります。一方、カテゴリーが低いLANケーブルは安価ですが、ネットワークエラーの原因になることもあります。そのためLANケーブルの選び方も間違えないようにしましょう。
PoEカメラ以外に必要な周辺機器とは
PoEカメラを導入するには、PoEハブとLANケーブルといった周辺機器が必要になります。この項目では、これらの選び方について解説していきます。
PoEハブの選び方
PoEカメラを導入するときに、カメラ本体と同様に重要なのがPoEハブです。電力供給や映像信号の伝送を行うネットワーク機器で、このハブを中心にして防犯カメラシステムが構築されるからです。PoEハブを選ぶ際には注意点がありますので、詳しく解説していきます。
PoE給電ポートの確認
PoEハブには、差し込み口となる給電ポートがあります。この数を間違えてしまうと、必要な防犯カメラが設置できないことになります。
例えば、PoEハブの給電ポートが2つの場合は、防犯カメラを接続できるのは当然のことなら2台です。ただし、給電ポートにルーターやパソコンなどを接続するケースもあります。そのため防犯カメラの数だけではなく、どの機器を接続するのかを事前に確認し、PoEハブの給電ポートの数を確認してから購入するようにしましょう。
PoEハブの1ポートの給電能力
PoEカメラは、機種によって必要な電力量が違います。もちろん、必要な電力量が供給されない場合、稼働はしません。そのためPoEカメラが必要な電力(最大消費電力)と、PoEハブの1ポートの給電能力を確認することが不可欠です。この場合、PoEカメラの最大消費電力よりもPoEハブの1ポートの給電能力が大きいことも必須条件になります。
最近の防犯カメラは多機能になり、消費電力が大きい傾向があります。そのため防犯カメラの消費電力と、PoEハブの1ポートの給電能力を確認してから購入することが大切です。
PoEハブ全体の給電能力
PoEハブの1ポートの給電能力について前項で紹介しましたが、次はPoEハブ全体の給電能力についてです。実は1ポートの給電能力とPoEハブ全体の給電能力が比例しない例があるのです。
例えば、1ポートの給電可能電力が15.4Wの場合、8ポートあるとPoEハブ全体の給電能力は8倍の123.2Wと考えがちですが、それ以下になっている機種もあります。つまり1ポートの給電能力を確認して購入しても、8ポートに防犯カメラを接続した際に、すべてのカメラに電源を供給できないといった事態に陥ることもあるのです。このような事態を避けるためにも、PoEハブ全体の給電能力も詳細に確認するようにしましょう。
LANケーブルの選び方
PoEカメラを用いる際にPoEハブと同様に重要なのがLANケーブルです。LANとは「LOCAL AREA NETWORK(ローカルエリア・ネットワーク)」のことで、限られた範囲内にあるコンピューターや通信機器などによるコンピューターグループを指します。一般的には同じ建物内、あるいは同じ室内で構築されるネットワークのことを言います。
このネットワークを構築するときに用いられるのがLANケーブルやWi-Fiなどの無線電波機器です。LANケーブルの場合は有線LAN、Wi-Fiなどの無線で構築されている場合は無線LANなどとも言います。
このLANケーブルは前述したように、複数のカテゴリーがあります。PoEカメラに使用する場合は安定性や安全性を考えて、「カテゴリ5e(CAT 5e)」よりも数値が大きいものを使用することが推奨されています。カテゴリーはケーブルに印字されているため、誰でも確認することができます。
ちなみにPoEとはPower over Ethernetの頭文字をとったもので、このうちEthernet(イーサネット)とは、パソコンなどの機器を有線で接続する際の規格のことです。Ethernet規格によるケーブルは3種類ありますが、LANケーブルが主流となっているためEthernet=LANケーブルと覚えていても間違いではありません。
電源確保の必要がないPoEカメラは幅広い目的で導入される
防犯カメラを設置するときに問題となりやすいのが、電源の確保です。設置場所の近くに電源コンセントがないと、新たに増設工事を行う必要があります。特に屋外に設置するケースでは、電源増設工事を何か所も行う必要があるため断念するケースも少なくありません。
しかしPoE(Power over Ethernet)を用いると映像信号の伝送とともに、電源の供給を行うことができます。そのためマンションやオフィスビル、商業施設など複数の防犯カメラを設置する場合はもちろん、設置費用を抑えたい個人宅などでも用いられています。
今回のコラムでは、PoEカメラの特徴を解説したほか、メリットやデメリットについても紹介しました。また防犯カメラを設置する際にはPoEハブやLANケーブルも必要になります。選ぶ際には注意点があるため、今回の記事をぜひお役立てください。
- 2024.12.11
- 13:05
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