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生産性特別措置法案とは? 防犯カメラ補助制度について

中小企業の労働生産性向上などを目指し、2018年6月6日に施行されたのが生産性向上特別措置法です。同法では、防犯カメラやテレワークで使用するテレビ会議システムなどを導入する中小企業を支援する事業「先端設備等導入計画」が開始されました。
ただし2021年に生産性向上特別措置法が廃止され、新たに中小企業経営強化法が制定されています。これに伴って「先端設備等導入計画」も同法に移管されています。そこで今回のコラムでは、防犯カメラを設置する中小企業を支援する中小企業経営強化法について解説していきます。
生産性向上特別措置法とは?
生産性向上特別措置法は中小企業の経営強化に向けた法律で、2018年6月6日に施行されています。同法の大きな特徴は、生産性を向上させる設備投資を行う中小企業を支援する「先端設備等導入計画」という事業です。具体的には、設備投資費用を当年度の経費として即時償却したり、取得価額の10%を税額控除するなどの税制優遇措置による支援です。
しかしこの生産性向上特別措置法は2021年7月26日に廃止となり、新たに中小企業等経営強化法が制定され、「先端設備等導入計画」も移管されています。そのため次の項目では、この中小企業等経営強化法の支援事業について解説しています。
中小企業等経営強化法に基づく支援措置
中小企業等経営強化法は中小企業の発展を支援する法律です。大きな特徴は、生産性向上特別措置法の「先端設備等導入計画」と同様に、「経営力向上計画」の認定を受けた事業者は計画を実行するための支援が受けられることです。
この支援とは、以下の3つを指します。
・税制措置…取得した設備にかかわる法人税などの控除
・金融支援…政府金融機関の融資、民間金融機関の融資に対する信用保証に関する支援
・法的支援…業法上の許認可の承継の特例、事業譲渡の際の免責的債務引受に関する特別措置
このうち防犯カメラを購入したり、設置する際に活用できるのが税制措置です。具体的な支援の内容は「法人税について、即時償却または取得価額の10%の税額控除」となっており、「先端設備等導入計画」での税制措置と同様です。
次の項目から詳しく見ていきましょう。
税制措置の概要
まず、「経営力向上計画」の認定を受けられる事業者について見ていきましょう。中小企業等経営強化法第2条第1項によって、企業の規模は下記のように決められています。
業種 | 資本金 | 従業員 |
---|---|---|
製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウエア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
また上記以外は、中小企業等経営強化法第2条第6項によって下記のように定められています。
・会社または個人事業主
・医業、歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)
・社会福祉法人
・特定非営利活動法人
上記の法人形態で、従業員が2,000人以下となっています。
次に、導入する設備についてです。中小企業等経営強化法の税制措置を受けられるのは下記の通りです。
・機械装置:160万円以上
・工具:30万円以上
・器具備品:30万円以上
・建物附属設備: 60万円以上
・ソフトウェア: 70万円以上
防犯カメラの場合、機種や設置方法、規模などによって建物付属設備や機械装置、器具備品などに振り分けられると考えられます。そのため個別の案件で判断が必要となります。
また、対象となる導入設備は、要件によって下記の4つの類型に分かれます。
A類型…生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備
B類型…投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備
C類型…可視化、遠隔操作、自動制御化のいずれかに該当する設備
D類型…修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備
A類型は生産性向上設備と言われ、防犯カメラを設置する場合は主にこのA類型に適用すると考えられます。そのため次の項目では、A類型における手続きの仕方について具体的に紹介していきます。ちなみにこの税制措置について、申請できる期間は2023年3月31日までとなっています。
A類型における適用手続とは
では、A類型で適用申請を行う場合の手続きについて見ていきましょう。
適用手続きの条件
A類型の場合、以下の2つの要件を満たすものが対象となります。
・一定期間内に販売されたモデル
・経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備
対象設備は、最新モデルの必要はありませんが、前述した価格に加えて、下記の通り一定期間内に販売されたモデルであることが定められています。
・機械装置:販売開始より10年以内
・工具:販売開始より5年以内
・器具備品:販売開始より6年以内
・建物附属設備:販売開始より14年以内
・建築物:販売開始より14年以内
これらの条件に適用していると判断できる場合、適用手続きを進めていきます。
適用手続きの準備
申請を行う前に、以下の申請書を用意します。
①企業の概要
②現状認識
③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
④経営力向上の内容
⑤事業承継等の時期及び内容
これらの計画を策定することによって認定を受けることができます。なお計画策定など申請に関しては、商工会議所や商工会、中央会、地域金融機関、士業等の専門家などの経営革新等支援機関からサポートを受けることができます。相談窓口となっていることもあるので、お近くに該当する機関がないか確認しておきましょう。
適用手続きの流れ
具体的な申請の流れを順を追って見ていきましょう。
①中小企業などの設備ユーザーが、当該設備を生産した設備メーカー(機器メーカー)に証明書の発行を依頼する
②設備メーカーは証明書及びチェックシートに必要事項を記入の上、工業会などの確認を受ける
③工業会は、内容を確認の上、設備メーカーに証明書を発行する
④工業会等から証明書を受け取った設備メーカーが、依頼のあった設備ユーザーに証明書を転送する
⑤設備ユーザーが確認を受けた設備を経営力向上計画に記載し、計画申請書や証明書などとともに事業分野の担当省庁の主務大臣に申請する
⑥主務大臣が計画認定書と計画申請書の写しを設備ユーザーに交付する
⑦支援を受けた設備ユーザーは経営力向上のための取り組みを実行していく
⑧税務申告を行う
防犯カメラを設置した場合、設備メーカーだけではなく、リースメーカーなどのケースもあります。この場合は、リースメーカーに証明書の発行を依頼することになります。
経営力向上計画の現在の認定状況
2022年9月30日時点で、「経営力向上計画」の認定が行われているのは146,762件となっています。担当省庁別の認定数は下記の通りです。
・経済産業省:68,300件
・国⼟交通省:45,700件
・農林⽔産省:14,017件
・厚⽣労働省:9,852件
・国税庁:2,091件
また認定事業者の業種の内訳は下記のようになっていますので、参考にしてください。
製造業 | 53,890件 |
---|---|
卸・⼩売業 | 13,169件 |
建設業 | 38,105件 |
サービス業(他に分類されないもの) | 6,119件 |
医療、福祉業 | 7,149件 |
電気・ガス・熱供給・⽔道業 | 3,977件 |
情報通信業 | 2,338件 |
学術研究、専⾨・技術サービス業 | 5,882件 |
⽣活関連サービス業、娯楽業 | 3,146件 |
宿泊業、飲⾷サービス業 | 2,967件 |
不動産業、物品賃貸業 | 1,883件 |
農業・林業 | 4,664件 |
運輸業、郵便業 | 1,898件 |
鉱業、採⽯業,砂利採取業 | 674件 |
教育、学習⽀援業 | 579件 |
漁業 | 251件 |
⾦融業、保険業 | 53件 |
複合サービス事業 | 15件 |
分類不能の産業 | 3件 |
一方、地域別の認定事業者は下記のようになっています。
北海道 | 7,316件 |
---|---|
東北 | 9,008件(⻘森:1,315件、岩⼿:1,150件、宮城:1,630件、秋⽥:1,116件、⼭形:1,788件、福島:2,009件) |
関東 | 48,243件(茨城:2,784件、栃⽊:1,967件、群⾺:2,801件、埼⽟:4,897件、千葉:3,585件、東京:12,638件、神奈川:5,440件、新潟:3,335件、⼭梨:1,035件、⻑野:3,929件、静岡:5,832件) |
中部 | 20,677件(富⼭:1,965件、⽯川:2,050件、岐⾩:3,500件、愛知:10,706件、三重:2,456件) |
近畿 | 29,895件(福井:1,759件、滋賀:2,039件、京都:3,367件、⼤阪:12,515件、兵庫:7,475件、奈良:1,382件、和歌⼭:1,358件) |
中国 | 9,994件(⿃取:1,082件、島根:749件、岡⼭:2,769件、広島:3,883件、⼭⼝:1,511件) |
四国 | 6,110件(徳島:1,309件、⾹川:1,644件、愛媛:2,106件、⾼知:1,051件) |
九州・沖縄 | 15,519件(福岡:4,991件、佐賀:1,022件、⻑崎:1,675件、熊本:2,630件、⼤分:1,384件、宮崎:1,209件、⿅児島:1,569件、沖縄:1,039件) |
支援を受けることで費用を抑えて防犯カメラを導入することができる
犯罪防止や勤怠管理など多彩なメリットがある防犯カメラですが、規模によって高額な費用がかかるため二の足を踏んでいる企業もあるはずです。
しかし政府では、中小企業の経営力を強化するための支援事業を行っており、防犯カメラを導入する際に活用することができます。その一つが今回紹介した中小企業等経営強化法に基づく支援措置です。
「経営力向上計画」の策定など申請書類の準備が必要ですが、2022年9月30日時点で全国146,762件の中小企業等が認定され、支援を受けています。「補助金があれば防犯カメラを導入したい」といった企業におすすめです。ぜひ検討してください。
詳細は、中小企業庁のホームページ経営サポート「先端設備等導入制度による支援」で確認してください。
- 2024.12.11
- 11:59
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