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防犯カメラの設置で得られる犯罪抑止の効果とは?

防犯カメラで得られる代表的な効果は、「証拠撮影」「犯罪抑止」「安心感」の3つです。このうち、今回のコラムでは「犯罪抑止」の効果に焦点を当てます。
犯罪を抑止するために防犯カメラが用いられている事例や、犯罪が減ったデータなど、詳しく解説していきます。
防犯カメラの設置で得られる3つの効果
「防犯」という名称がついているだけに、犯罪を防止するという効果が期待できるのが防犯カメラです。この項目では、この防犯を含めた防犯カメラの代表的な3つの効果について解説していきます。
犯罪抑止
犯罪行為をする場合、誰でも「見られたくない」「見つかりたくない」という心理的なプレッシャーを受けます。そのため防犯カメラが設置されていると、犯罪を思いとどまることがあります。
例えば、空き巣を計画している窃盗集団がいた場合、空き巣を成功させるために下見をして防犯カメラの場所などを特定します。その際、防犯カメラによってセキュリティが強化されていれば、空き巣を断念する可能性もあるのです。
このような防犯カメラによる犯罪抑止効果は世界中で確認されていますが、日本でも同様の結果が得られています。特に日本では世間から見られていることに対して意識が強いため、犯罪抑止効果が高いとも言われています。
証拠撮影
ただし、防犯カメラがあったとしても犯罪が起きる場合があります。この時に、防犯カメラがあることで、事件の早期解決につながることが考えられます。それは犯罪の一部始終が映像データに残っているからです。
また防犯カメラで撮影した映像を分析することで、再び犯罪に巻き込まれる危険性を減らすこともできます。どのように侵入したか、どのような持ち物を持っていたか、などもわかるからです。金品の隠し場所や隠し方のほか、追加する防犯アイテムを検討する際などに、防犯カメラの映像を参考にすることができるのです。
安心感
このように防犯カメラを設置することで、犯罪を抑止したり、犯罪を早期解決に導くことができます。そのため、周辺で暮らす人たちは安心感を得ることができます。
これはデータでも証明されており、愛知県警が2022年1月7日〜20日に実施したアンケートによると、「防犯のためにカメラは必要(効果)があると思うか」という設問に必要性を示したのは92.4%となっています。また、カメラが設置されていることについての感想では、68.9%が「安心感がある」と答えています。
誰でも犯罪が起きるような場所では暮らしたくないものです。防犯カメラがあることで少しでも安心感を持って暮らせることは、防犯カメラの大きな効果と言えます。
データで見る防犯カメラの犯罪抑止効果
犯罪抑止効果があるとされる防犯カメラですが、実験による具体的なデータもあります。この項目で詳しく紹介していきます。
紹介するのは「日本環境心理学会第10回大会」で、政策研究大学院大学の深谷昌代氏が発表した「防犯カメラの設置による窃盗犯罪の抑止効果について」(2017年)という資料です。この研究は大阪市を対象としており、「防犯カメラが設置地域及び周辺地域に与える影響及び防犯カメラを補助、直接設置した場合の設置方法の相違が犯罪発生件数に与える影響を分析」することを目的に行われました。
具体的な研究内容は下記になっています。
期間:2010年1 月から 2016年 10 月
対象の犯罪:窃盗犯罪発生件数(住宅関連窃盗、自動車関連窃盗、路上窃盗)
計算方法:町丁目(n=1904)1k㎡当たりの被説明変数、町丁目1 k㎡当たりの防犯カメラ設置累計台数及び隣接する周辺町丁目1k㎡当たりの防犯カメラの平均設置累計台数を説明変数として固定効果モデルにより分析
このような研究を行った結果、防犯カメラを設置したエリアでは窃盗犯罪発生件数が0.1766減ったという結果になっています。また路上窃盗では、防犯カメラを設置したエリアだけではなく、周辺地域の犯罪発生件数も減少したと報告しています。
このことから同資料では「防犯カメラは、設置町丁目単位で犯罪発生件数を減少させており、安心・安全なまちづくりの実現に向けて、一定の効果を発揮するといえる。」としています。さらに「設置目的をひったくり対策とする際には、ひったくりが多い町丁目に設置することで、周辺のひったくりの発生も減少させる可能性がある。」としており、防犯カメラが設置されているという心理的なプレッシャーにより設置場所以外でも犯罪が減少することを報告しています。
警視庁の街頭防犯カメラシステム
このように防犯カメラの犯罪抑止効果が注目されるようになったのは、警視庁が「街頭防犯カメラシステム」の導入を進めていることがきっかけとも言われています。警視庁では、2002年に東京都新宿区歌舞伎町に55台の防犯カメラを設置したところ、犯罪件数が年々減少していると報告しています。その減少数は下記の通りになっています。
集計年 | 犯罪件数(新宿区歌舞伎町1丁目と2丁目の合計) |
---|---|
2002年 | 2103件 |
2005年 | 1892件 |
2012年 | 1536件 |
2016年 | 961件 |
2021年 | 816件 |
もちろん防犯カメラだけの効果ではないでしょうが、犯罪件数が2000件以上だったのが10年間で1500件程度、4分の3程度に減ったことがわかります。さらにその4年後には1000件を下回っており、防犯カメラを設置してから犯罪件数は半数以下になっています。
警視庁では、この街頭防犯カメラシステムを東京都内各地に導入しており、下記のように運用しています。
場所 | 設置されているカメラ | 運用開始日 |
---|---|---|
新宿区歌舞伎町地区 | ドームカメラ46台、固定カメラ9台の計55台 | 2002年2月27日 |
渋谷区渋谷地区 | ドームカメラ21台 | 2004年3月22日 |
豊島区池袋地区 | ドームカメラ49台 | 2004年3月24日 |
台東区上野2丁目地区 | ドームカメラ12台 | 2006年2月15日 |
港区六本木地区 | ドームカメラ44台 | 2007年3月20日 |
墨田区錦糸町地区 | ドームカメラ15台 | 2013年3月23日 |
具体的な運用方法としては、専従の担当者が24時間体制でモニターし、110番通報などの対応をしています。また録画データは警視庁本部のサーバに録画され、厳格な管理のもと最大30日間保存されています。
この録画データの運用事例として、2021年中は770件の映像データを警察署長に提供し、うち570件が検挙活動・事案の立件・解決などに活用されたと報告しています。
このほか、街頭防犯カメラとして下記の地域でも防犯カメラが設置され、防犯のために運用されています。
場所 | 設置台数 |
---|---|
世田谷区上祖師谷地区 | 10基 |
町田市原町田地区 | 7基 |
渋谷区円山町地区 | 10基 |
千代田区秋葉原地区 | 5基 |
新宿区百人町・大久保地区 | 15基 |
墨田区東向島地区 | 13基 |
江東区塩浜2丁目地区 | 5基 |
武蔵村山市緑が丘地区 | 5基 |
このような街頭防犯カメラシステムは各地の警察署などで運用されています。例えば千葉県警では、千葉駅、船橋駅などの5駅周辺にそれぞれ10台の防犯カメラを設置しており、さらに市川駅、成田駅、津田沼駅などにも新たに設置しています。現在、千葉県内では合計120台の街頭防犯カメラシステムが稼働しています。
また北海道警察では、札幌市すすきの地区、大通り地区、札幌駅前地区で合計51台の街頭防犯カメラシステムが稼働しています。
このように全国の警察署で防犯カメラが運用されていることで、犯罪抑止効果、さらに証拠撮影という効果が実証されているとも言えます。ただし警察署が防犯カメラを設置できるのは街頭や公園など公共の場所に限られています。そのためマンションやオフィス、自宅、店舗などのセキュリティを強化するには、ご自身で設置する必要があります。
防犯カメラを設置する際の注意点
犯罪抑止を目的に防犯カメラを設置するには、下記のような注意点があります。詳しく解説していきます。
防犯カメラの存在をアピールする
犯罪抑止のために防犯カメラを設置する場合、犯罪を犯そうとしている人に気づかせることが重要です。防犯カメラがあることで犯罪を思いとどまる可能性があるからです。そのため目立つ場所に、目立つタイプの機種を設置することが必要です。
防犯カメラの存在をアピールするためには、ガンタイプやバレットタイプがおすすめです。ただし犯罪者に壊されてしまう可能性があるため、目立つ場所と言っても簡単に手が届く場所には設置しないようにしましょう。また日が当たる場所などは逆光になって映像データが見えにくい場合もあります。この点も注意しましょう。
防犯カメラを目立たせる以外にも、防犯ステッカーなどで防犯カメラの存在をアピールする方法もあります。またダミーの防犯カメラを設置することでも、ある程度、犯罪抑止効果があると考えられています。
死角を作らない
どれだけ数多くの防犯カメラを設置したとしても、死角ができてしまうと犯罪を抑止できないこともあります。空き巣のプロなどは防犯カメラのありそうな場所だけではなく、どこが撮影されているか、どこが死角になっているかなども確認してから犯罪に及びます。そのため、死角を作らないような場所と角度で防犯カメラを設置するようにしましょう。
防犯カメラを設置することで犯罪を抑止することができる
今回のコラムでは、防犯カメラの犯罪抑止効果について解説しました。防犯カメラを設置した場所では、設置しなかった場所よりも犯罪件数が減少したという研究結果についても紹介しました。警察署でも街頭防犯カメラシステムを積極的に導入しており、防犯カメラが犯罪を抑止していることが理解できたのではないでしょうか。
ただし防犯カメラを設置することで効果的に犯罪を抑止するためには、業者選びも大切です。マンションやオフィス、自宅、店舗などで防犯カメラの最適な設置場所や必要台数が異なるため、設置したい場所に合わせた実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。
- 2024.12.11
- 11:56
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