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防犯カメラの中でもネットワークに接続できるIPカメラの活用方法が広がっています。気軽に導入できることから、購入を検討されている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回のコラムでは、IPカメラの仕組みや機能の解説に加えて、多彩な活用方法についても紹介していきます。

IPカメラとは

IPカメラとは、ネットワークに接続して使用するカメラのことです。そのためメーカーによってはネットワークカメラともいいます。カメラの本体にWebサーバやFTPサーバ、FTPクライアント、電子メールクライアントなどが内蔵されており、インターネット上の住所と言われるIPアドレスも割り当てられています。

IPとはInternet Protocol（インターネットプロトコル）の略で、インターネット経由でやり取りができる通信方式のことです。IPカメラは、インターネットに接続しながら撮影するため、遠隔地からスマートフォンなどで映像を確認したり、ズームアップなどのカメラの操作ができることが大きな特徴となっています。

似たようなカメラにWEBカメラがありますが、WEBカメラにはコンピュータが内蔵されていないため、パソコンなどに接続しないと作動させることができません。このような違いも覚えておきましょう。

IPカメラの仕組み

IPカメラは、ルーターなどのネットワーク機器に接続して使用する方法が一般的です。この際、配線に用いるのがLANケーブルです。アナログカメラの場合、映像用などの同軸ケーブルで接続するため複数の配線が必要になりますが、IPカメラはLANケーブル1本で配線できるのが異なる点です。

最近はWi-Fiに接続できるワイヤレスタイプのIPカメラも市販されており、接続がさらに容易になっています。またバッテリーが内蔵されているタイプは、電源と接続する必要ないため、場所を選ばずにどこにでも設置できるようになっています。

IPカメラの形状

IPカメラの形状は、「ボックス型」「ドーム型」「置き型」の主に3つの種類があります。それぞれの違いは下記のようになっています。

・ボックス型…コンビニや金融機関、商業施設などでよく見かけるタイプで、長方形に近い形状のカメラです。似たようなタイプでバレット型もあります。

・ドーム型…照明のような半球体の形状をしているのがドーム型です。あまり目立たないため、飲食店やオフィス内など、カメラだと気づかれたくない場所に設置するのに向いています。撮影範囲が広く、360度撮影できる機種もあります。

・置き型…置き場所を選ばない小型のカメラです。持ち運びがしやすく、中には手のひらサイズの機種もあります。狭い場所や高い場所などに置いて使用することができます。

IPカメラに搭載されている機能

IPカメラには多彩な機能が搭載されていますが、代表的な6つの機能について解説していきます。

ズーム機能

ズーム機能とは、カメラの焦点をズームアップしたり、ズームアウトできる機能です。ズーム機能があると、遠くのものが近くに見えたり、反対に広範囲の撮影が可能になります。またIPカメラの場合、手元のスマホやタブレットなどで操作ができるため、映像を確認しながら拡大したり、縮小したりすることができます。ほしい映像や必要な映像を残すのにも便利な機能です。

自動追跡機能

防犯目的でIPカメラを設置する場合、役に立つのが動いているものを自動で追跡して撮影する自動追跡機能です。被写体を追いかけて撮影するため、行動を分析するといったときにも有効です。また赤ちゃんやペットの見守りカメラとして使用する場合、被写体が動き回っていても撮影を継続することができます。

PTZ機能

Panoramac（パン）のP、Tilt（チルト）のT、Zoom（ズーム）のZの頭文字を取ったのがPTZ機能です。それぞれの意味は下記のようになっています。

パン…水平方向への首振り
チルト…垂直方方向への首振り
ズーム…ズームアップ（望遠）とズームアウト（広角）

つまり、PTZ機能とは首振りができる機能のことです。上下左右に首振りをするほか、ズームアップとズームアウトもできます。そのため、あらゆる方角を撮影することができます。

PTZ機能は広範囲を撮影するのに優れており、前述した自動追跡機能と組み合わせることでより広い範囲で被写体の行動を撮影することができます。

動体検知機能

動体検知機能とは、画角内で動いたものを検知して録画を行う機能です。録画の容量や電力の無駄をなくしたい場合に有効な機能です。防犯カメラとして活用する場合は、不審者などが侵入した際に撮影が開始されます。また見守りカメラとして使用する場合は、被写体が動いた際に撮影が開始されるため、寝ている際の見守りにも役に立ちます。

録音機能

マイクがついており、周辺の音声を録音することができる機能です。防犯カメラとして活用する場合は犯罪者などの声が残るため、性別なども判別しやすく、早期の犯人特定につながる可能性があります。一方、見守りカメラとして使用する場合は、被写体の映像だけではなく、声も残すことができます。

会話機能

カメラを操作する側と、被写体の双方向で会話ができるのが会話機能です。IPカメラを見守りカメラとして活用する場合は、被写体と会話したり、指示を出すといったこともできます。また防犯カメラでは、窓の外で不審者を見かけた際などに、会話機能を用いて犯罪を抑止することもできます。

IPカメラの活用方法

IPカメラの仕組みや種類、搭載されている機能について把握したところで、どのように活用されているのか、解説していきます。

犯罪を抑止する

最も多いのが防犯カメラとして活用されることです。設置が容易で、遠隔操作もできるため、幅広い場所で用いることができます。例えば、小売店やコンビニなどの店舗内に設置することで、万引きなどの犯罪を抑止することができます。また駐車場などの広い敷地内では、スマホなどの端末でリアルタイムの映像が確認できるため、遠隔地での監視にも役立ちます。

事故やトラブルを記録する

お酒を提供する飲食店では特に客同士のトラブルなどが起きやすいという特徴がありますが、そのような事態にもIPカメラの映像があることで原因の解明ができます。録音機能が搭載されていれば、トラブルの原因や様子もより詳しく確認することができるでしょう。

また駐車場など、人の出入りが少ない場所で接触事故が起きた場合は目撃者がいないこともあります。しかしIPカメラが設置されている場合、録画した映像を事故の証拠として活用することができます。

遠隔地からの見守りができる

IPカメラの大きな特徴はインターネット接続ができ、遠隔地でもリアルタイムでカメラの映像が確認できることです。そのため、高齢者や赤ちゃん、子供、ペットなどの見守りカメラとして活用されるケースもあります。会話機能、PTZ機能、自動追跡機能などの多彩な機能を用いることで、より便利に見守ることができます。

研修や講義、会議をライブ配信する

IPカメラは拡張性が高く、さまざまな場所からも見られるという特徴があります。双方向で会話ができる会話機能が搭載されていれば、本店と支店を結んで会議を行うといった場合にも役立ちます。そのほか新人社員の研修などのほか、学校の授業や講義なども、複数の拠点から参加できるようになります。交通費用の削減など、副次的なメリットもあります。

スタッフの勤怠管理ができる

飲食店や小売店などのスタッフがどのように働いているか確認するのに、IPカメラの映像が役立ちます。忙しい時間帯は店舗管理責任者が詳細にチェックすることが難しいため、閉店後などにカメラの映像を確認することで、スタッフの勤務態度や接客スキル、さらに服装や服装規程、あるいは衛生上の問題点などをチェックすることができるのです。

特にIPカメラの場合は遠隔地で映像を確認することができるため、運営本部が直接店舗に赴く必要がないというメリットもあります。

業務の効率化につなげられる

オフィスにIPカメラを設置した場合、社員一人ひとりに見られているという意識が高まり、業務中の勤務態度が向上する可能性があります。そのため、労働生産性の向上や残業時間の減少などにつながる可能性があります。

また、従業員の働きぶりが記録されるため、業務効率化あるいは従業員のキャリアアップにつなげることもできます。例えば、残業の多い社員の働き方の問題点を見つけ出し、改善策を提示するといったことができるのです。また受付担当者の接客品質を向上させたり、電話の応対レベルの向上にもつなげられます。

マーケティングに活用できる

飲食店や小売店などの店内をIPカメラで撮影している場合、お客様の動向を分析することで、ニーズの把握といったマーケティングに活用することもできます。例えば飲食店の場合では、来店者の性別や年齢層、来店時間、注文したメニュー、天気などを組み合わせて分析することで、潜在的なニーズを捉えて売上増につながるような施策を実施することができるのです。リアルタイムで映像が見られるため、マーケティングに基づいた施策通りにできているか運営本部が確認をする際にも役立ちます。

価格は数万円〜、設置工事が必要ないものもあり気軽に導入することが可能

IPカメラは、インターネットを通じて利用することができるカメラのことです。遠隔地にいても映像をリアルタイムで確認したり、操作することができるため、即時性の高い幅広い活用方法が考えられます。個人では見守りカメラとして、店舗や飲食店などでは運営本部におけるリアルタイムでの確認といった使い方が想定されますが、そのほかにも観光スポットでのリアルタイム配信、ウェブ会議、リモート勤務などにも活用されています。

価格帯も数万円台からあり、設置工事が不要な機種もあるため、手軽に導入することができます。ぜひ検討してください。