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自転車が盗まれた経験がある方も多いのではないでしょうか。自転車を盗む犯罪行為は、気軽な犯罪という意味の「カジュアルクライム」の一つとされ、発生件数が多いのも特徴です。しかし防犯カメラなどの防犯対策を施すことで、犯罪を減らす動きも増えています。

そこで今回のコラムでは、駐輪場に防犯カメラを設置するメリットについて詳しく解説していきます。

自転車の盗難発生件数は自動車の20倍以上

警察庁の「令和3年の刑法犯に関する統計資料」によると、2021年に全国で起きた自転車盗は106,585件となっており、1日にすると292件もの盗難事案が全国で発生しています。そのうち返還されたのは59,566件で、返還率は55.89％となっています。詳細については下記を確認してください。

• 認知件数…106,585件
• 検挙件数…8,508件
• 検挙人数…4,243人
• 返還件数…59,566件
• 返還率…55.89％

これに対して自動車盗の認知件数は5,182件となっており、自転車盗の方が20倍以上も多いことがわかります。ただし、自転車が盗まれても被害届を出さないケースもあり、潜在的な被害はさらに多いことも想定できます。

また検挙率は7.98％で、自動車盗の49.32％に比べて検挙される割合が低い傾向があります。自動車はプロによる犯罪が多いですが、自転車の場合は気軽に盗んでしまうことも多いという特徴があるからです。万引きなどと同じように「カジュアルクライム」の一つと言われ、動機が軽く、プロによる犯行はほとんどありません。そのため検挙率が低いのにも関わらず、半数以上が返還されているのです。

一方、オートバイ盗は7,569件と自転車盗よりも少ないですが、自動車盗よりも多くなっています。検挙率は17.0％で自転車盗に比べて高いものの、自動車の約半分となっています。

自転車盗の発生場所

自転車やオートバイは盗難被害に遭う件数が多く、また検挙率が低いことも把握できたところで、同様に「令和3年の刑法犯に関する統計資料」から自転車盗が発生した場所について確認しましょう。

総数の106,585件に対して、駐輪場で発生したのは17.4％ですが、マンションなどの4階建て以上の共同住宅では19.0％、3階建て以下の共同住宅では14.1％、商業施設が7.7％、駅が8.0％となっています。駐輪場のように数多く自転車が停められている場所で、自転車の盗難被害が発生しやすいことがわかります。これは似たような自転車が多く、持ち主が誰かということもすぐにはわからないという特徴があるからです。

自転車盗を防ぐための対策は

警視庁HPの「自転車盗の防犯対策」というページでは、自転車盗の防犯対策について下記のように記されています。

このように、自転車を盗まれない方法の一つに防犯カメラが設置されている駐輪場を推奨しています。つまり警視庁でも、駐輪場に防犯カメラを設置することで、防犯効果があると認識しているということなのです。

では、駐輪場に防犯カメラを設置するにはどのようなメリットがあるのでしょうか。次の項目で見ていきましょう。

駐輪場に防犯カメラを設置するメリット

警察庁が駐輪場に防犯カメラを設置することを推奨していますが、具体的にはどのようなメリットがあるのか、解説していきます。

犯罪抑止力が発揮される

防犯カメラのメリットの一つは、犯罪抑止力があることです。犯罪は夜間に起きることが多いですが、それは犯行現場を見られたくないからです。反対に、誰かに見られている、またはカメラで録画されていると気づくと、犯罪を思いとどまる傾向があります。

前述したように、自転車盗は「カジュアルクライム」の一つとされ、犯罪のプロではなく、誰もが気軽にできてしまう犯罪の一つです。その分、防犯カメラが設置されていることに気づくと、犯罪行為を止める可能性も高くなると考えられます。

映像として残るため、犯人の特定に役立つ

防犯カメラを設置することで、犯罪が起きたシーンを映像データに残すことができます。犯行の一部始終が記録されているため、顔や容姿の特徴が確認でき、犯人を絞り込むことも容易になります。犯人の特定が早期に特定できれば犯人を確保することができ、そのため盗難品が戻ってくる確率も高くなるというメリットもあります。

また駐輪場では、自転車が盗まれるといった以外のトラブルも発生します。例えば、有料駐輪場を無断で使用するといった不正利用なども、映像データを確認することで当事者の絞り込みが可能になります。

そのほか、下記のようなイタズラが起きる可能性もあります。

• カゴにゴミを入れられる
• サドルに飲み物をかけられる
• ハンドルの角度を変えられる
• サドルを切られる
• タイヤをパンクさせられる
• チェーンでロックされる
• 鍵穴にガムを入れられる　など

軽い気持ちの場合もあれば、イライラを発散させるため、高そうな自転車への妬み、などからこうしたイタズラをするようですが、証拠がなければ当事者を特定することはできません。しかし映像データがあれば、チラシを作ったり、SNSで映像を公開するなどで当事者を特定することも可能になるのです。

トラブルの原因解明ができる

駐輪場で起きるトラブルには、接触事故や利用者同士の言い争いなどがあります。危険な運転や急な飛び出しなどが原因ですが、録画してある映像データを確認することで、その原因が解明できる可能性があります。またどちらに責任があるか明確になれば、トラブルが大きく発展しないようにすることもできます。

さらに駐輪場の場合、自転車に接触してしまい故障させたり、倒したまま放置するといったこともあります。持ち主は泣き寝入りすることもありますが、防犯カメラに映像が残っていると、当事者を特定したり、原因を解明することも可能になります。

再発防止策を立てることができる

駐輪場で犯罪やトラブルが発生した場合、その映像をもとに再発防止策を立てることができます。例えば、同じ場所で盗難事案が多い場合は、死角ができている可能性があります。そのため、防犯カメラの位置や角度などを改めて調整することで、犯罪抑止力を高めることが可能になります。また、同じような場所で自転車同士の接触事故が多い場合は、順路に問題があると考えられます。

このように映像を確認することでトラブルの原因が確認でき、トラブルを減らすための対策を検討することができるのです。

駐輪場に設置する防犯カメラの選び方

駐車場に防犯カメラを設置するメリットを把握したところで、どのような機種を選ぶといいか、具体的に解説していきます。

基本的な性能

駐輪場と言っても屋内のケースがあれば、屋外のケースもあります。そのため基本性能は、設置場所に合わせて選ぶようにしましょう。

画質…屋内での撮影の場合、できるだけ解像度の高い機種を選ぶようにしましょう。映像の画質は解像度が高くなるほど鮮明になります。一般的な駐輪場であれば、200万画素〜400万画素程度が目安になります。

防塵・防水性能…防犯カメラの防塵・防水性能は「IP規格」を採用しており、パッケージなどに「IP◯△」と記載されています。「◯」が防塵性能で、「△」が防水性能を表します。どちらも数字が高いほど性能が良く、防塵性能は0〜6の7段階、防水性能は0〜8の9段階になっています。屋外の駐輪場に設置する場合は「IP66」以上が目安となります。

耐衝撃性能…電子機器は主に「IK◯◯」規格が用いられており、「00」から「10」までの11段階表示になっています。数値が高いものほど耐衝撃性能が優れており、犯罪者の手の届きそうな場所に設置する場合は、壊されないようにできるだけ数値が高い機種を選ぶようにしましょう。

このほか、電源を供給する方式や、保存する方式などにも複数の種類があり、設置箇所の状況によって選択することが必要です。

ついていると便利な機能

防犯カメラには多彩な機能が用意されていますが、駐輪場に設置する防犯カメラについていると便利な機能について紹介していきます。

ズーム機能…駐車場の敷地が広い場合、遠くの方は小さくなってしまい、映像がはっきり確認できないこともあります。そこで便利なのがズーム機能です。映像データを拡大して確認することができるため、犯人の特定などにも役立ちます。

逆光補正機能…駐輪場でのイタズラや盗難は日中でも起きるため、ついていると助かるのが逆光補正機能です。太陽の日差しが強すぎるとカメラの中に光が多く差し込んでしまうため、映像が白くなってしまいます。しかし逆光補正機能があると自動で映像の明るさを抑えるため、鮮明な映像を残すことができます。

そのほかには自動追跡機能や動体検知機能、PTZ機能など多彩な機能が用意されています。駐輪場の特徴に合わせて必要な機能を選ぶようにしましょう。

防犯カメラを設置することで住人や利用者の安全を守ることができる

駐輪場が駐車場と異なる点は、置かれている数が多いのと、似たような自転車が多く並んでいるということです。そのため他人から見ると持ち主かどうかわかりにくく、日中でも盗難やイタズラの被害に遭いやすいという特徴があります。またカジュアルクライムの一つと言われるように、誰でも気軽に犯罪を起こせることも自転車の窃盗件数が多い要因の一つになっています。

そのため防犯カメラを設置することで、犯罪やトラブルを未然に防ぎ、さらに万が一の際にも早期の犯人特定が期待できます。マンションや商業施設の駐輪場では盗難事案が発生することがありますが、早期に対策をすることで、住人や利用者の安全を守ることができます。ぜひ検討してください。